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実践経営倫理塾 「CSR(企業の社会的責任)の本質を考える」


「CSR(企業の社会的責任)の本質を考える」

BERC理事・首席研究員 田中宏司

第2回 CSRの意味を理解する

「企業の社会的責任」(CSR:Corporate Social Responsibility)は、わが国において以前から議論されてきた古くて新しいテーマである。

現在、CSRと「企業の社会的責任」という用語が共に使われているが、グローバリゼーションや情報技術の発展、消費者・顧客、NGOなどから企業行動への厳しい批判など世界的な潮流を反映して、社会の持続可能な発展を目指す考え方としてCSRという言葉のほうが多く使われている。

CSRについて、国際的に統一された唯一の定義があるわけではなく、各種団体が定めた多種多様な定義がある。

有名な定義として、「企業にとって社会的責任とは、利潤を拡大させることである」(M.フリードマン、米国経済学者)の言葉が引用されるほか、わが国においては「利益を上げ納税することが、企業の最大の社会的責任」との見解がある。
最近のCSRに関する内外の代表的な見解をみると、次のとおりである。

1) 欧州委員会「EUホワイトペーパ」(2002年)
「責任ある行動が持続可能な事業の成功につながるという認識を、企業が深め、社会・環境問題を自発的に、その事業活動およびステークホルダーとの相互関係に取り入れるための概念」

2)経済同友会(2003年第15回企業白書『「市場の進化」と社会的責任経営』)
「CSRは、企業と社会の相乗発展のメカニズムを築くことによって、企業の持続的な価値創造とより良い社会の実現をめざす取り組みである。その中心的キーワードは、持続可能性(sustainability)であり、経済・環境・社会のトリプル・ボトムラインにおいて、企業は結果を求められる時代になっている。」

3) CSRイニシアチブ委員会『やさしい実践CSRイニシアチブ』(2007年:日本経営倫理学会CSR部会の委員会)
「CSRとは、企業と社会の持続可能な発展を促進することを目的として、不祥事の発生を未然に防ぐとともに、トリプル・ボトムラインと称される経済・環境・社会に対して積極的に貢献していくために、マルチ・ステークホルダーのエンゲージメントを通じて、共に進める制度的義務と主体的取り組みの責任」

4)BERC研究者の定義(田中宏司『CSRの基礎知識』日本規格協会、2005年)
「企業が社会の一員として、社会に対して果たすべき役割と責任」である。
詳しくは、「企業が社会の一員として、社会と企業の持続的発展をめざして、経営戦略の中核に位置づけ、さまざまなステークホルダーとの相互交流を深め、経済・環境・社会問題について、社会の信頼をえるために果たすべき自主的取組である。」
このようなCSRについての様々な見解や定義には、共通するCSRの基本コンセプトとして、次の3つにある。

第1に、サステナビリティ(持続可能性、持続的発展)
サステナビリティ(Sustainability)とは、一般的に「持続可能性」「持続的発展」と訳されている。地球市民として、“地球の環境許容量”を前提にして、経済、環境、社会の3つの側面で、良いバランスを配慮しながら、“持続的発展を目指す”ことが大切である。“地球は唯一つ”を前提に、地球環境問題への対策が重要な課題となる。

第2に、ステークホルダーとの対話・エンゲージメント
CSRの実践においては、ステークホルダーとの対話、コミュニケーション、エンゲージメントを図り、ステークホルダーからの要請、期待、意見、評価などを確認することが、きわめて重要となる。いわゆるCSRコミュニケーションは、組織のCSRの経営戦略に組み込むための“永続的で不可欠なプロセス”である。

第3に、トリプル・ボトムライン(「経済」「環境」「社会」の3側面)
CSRとの関係では、「トリプル・ボトムライン」*は、「事業活動を環境価値、経済価値、社会価値の3局面について、それらのバランスを維持しながら高めるよう、経営戦略として積極的に取り組むことを評価する」考え方である。

それぞれの企業では、上記を参考に経営理念の実践を目指して、経営活動そのものがCSR実践活動になるように定義することが望ましい。

*英国のSustain Ability社(環境コンサルティング会社)のジョン・エルキントン氏がはじめて提唱した


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