トップ  >  実践経営倫理塾 「働く人、組織、社会を元気にする経営倫理実践とは」 第1回 自律型社員とエシカル・リーダーシップ
実践経営倫理塾 働く人、組織、社会を元気にする経営倫理実践とは

経営倫理実践研究センター主任研究員
村松邦子


第1回  自律型社員とエシカル・リーダーシップ


1. 企業倫理の取り組みは効果をあげていますか?

 近年、企業の社会的責任に対する意識が高まり、多くの企業で「企業倫理・コンプライアンス推進の仕組み」が構築・導入されています。しかしながら、依然として企業不祥事は後をたたず、企業倫理・コンプライアンス推進担当者からは、

・ハラスメントやルール違反など、現場で働く個々人が起こす問題行動がなくならない
・毎年研修をしているが、従業員の倫理意識向上につながっているのか効果が分からない
・現場の負担感が高く、当事者意識が乏しい
・研修・推進活動がマンネリ化している

など、推進に関する悩みや課題が多く寄せられています。

 「不祥事を起こさないため」、「不祥事を起こしてしまったから」、あるいは「他の企業も始めたから乗り遅れないように」と、企業倫理実践を不祥事防止、リスクマネジメントのツールとだけ考え、形式的な取り組みになっていませんか?

 「企業倫理・コンプライアンス=?してはいけない」という雰囲気が組織に蔓延していると、コンプライアンス研修は、まるで会社の経費を使って社員の活力を削いでいるようです。研修室からでてきた社員は、目線が「下向き」になっていないでしょうか?

2. 形だけの取り組みから「自律型社員の育成」へ

 企業倫理実践には、社員一人ひとりの倫理意識を高めることが欠かせませんが、知識伝達型のコンプライアンス研修だけでは「個人倫理の醸成」はあまり期待ができません。なぜなら、法律やルールといった「外の基準」に意識が向き、「企業倫理は自分の仕事にどうつながっているのか」、「自分の立場でできることは何なのか」という当事者意識を持ちにくいからです。
 また本来、企業倫理実践は創業時の志や企業理念と結びつくべきものですが、そのようなメッセージを経営トップから伝えずに、「ルールだから守れ」というだけでは、社員にとってはただ「押し付けられたもの」として重荷になるばかりか、「これは研修で言われていないからいいだろう」とグレイゾーンや抜け道を探すことにもなりかねません。

 働く人、組織、社会を元気にする企業倫理実践には、企業理念や組織の倫理観の浸透と同時に、自主的に「正しい判断と行動をする」自律型社員を育成する取り組みが求められています。

3. 目指すは「全社員=エシカル・リーダー」

 「エシカル・リーダーシップ(Ethical Leadership:日本語では「倫理的リーダーシップ」と訳されます)」という言葉をお聞きになったことはありますか?
 これは、健全な組織活動とモラールの向上に効果的な行動として欧米諸国で実証研究されているリーダーシップスタイルのことです。

 「エシカル・リーダーシップ」の基盤は、個人の倫理意識ですが、人間関係や組織全体を「上向き」にさせる取り組みとして、「エシカル・リーダーシップ」の育成を射程に入れた活動を展開することが、今、多くの日本企業に求められているのではないでしょうか?

次回はエシカル・リーダーシップについての先行研究をご紹介したいと思います。

村松邦子主任研究員 プロフィール


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