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実践経営倫理塾 「CSR(企業の社会的責任)の本質を考える」


「CSR(企業の社会的責任)の本質を考える」

BERC理事・首席研究員 田中宏司

第3回 コンプライアンス経営からCSR経営への進化

わが国企業として、社会の信頼を得て持続的な発展をするためには、 企業行動にあたって、次の通り統合化され進化した姿となる。

第1に、基盤としてのコンプライアンス経営の実践

第2に、経営管理の仕組みとしてのコーポレート・ガバナンスの適正な運営
( 内部統制を含む )

第3に、企業経営全体としての CSR 経営の推進

図表 コンプライアンス、 ガバナンス、 CSR の統合的関係


コンプライアンス、ガバナンス、CSRの統合的関係


出典:田中宏司( 2005 )『 CSR の基礎知識』日本規格協会、 p.40 、図 1.2 。


企業が、 CSR 経営を推進するに 際して、対応すべき具体的な項目をあげると、次のように多岐にわたる。

第1に、コンプライアンス・企業倫理関係である。
法令等遵守、贈収賄防止、政治献金禁止、不正競争防止、消費者重視、ステークホルダーの利害の尊重などである。

第2に、コーポレート・ガバナンス関係である。
取締役(会)、監査役(会)の機能強化、独立した社外取締役の登用、株主総会の活性化と株主・投資家への説明責任などである。

第3に、公正な経済活動関係である。
消費者第一主義、顧客満足、リスクマネジメント、ブランド戦略、 IR 、安全・衛生対策、製造物責任への配慮、公正な取引、サプライチェーン・マネジメントなどである。

第4に、人権一般である。
基本的人権の尊重、不合理な差別の禁止、社会的弱者への配慮、経済的・社会的・文化的権利の尊重、労働における基本的権利の尊重などである。

第5に、労働関係である。
結社の自由、差別撤廃、労働時間等の適正な運営、従業員の能力開発(教育訓練、多様性と機会均等等)、児童労働・強制労働の禁止などである。

第6に、地球環境対策である。
環境対策(原材料、エネルギー、水、有害物質、排出物・廃棄物等)、乱開発防止、生物多様性への配慮、動植物保護、環境マネジメント・システムの推進などである。

第7に、情報開示、報告書関係である。
環境報告書、社会・環境報告書の発行、サステナビリティ・レポート、 CSR 報告書の発行などによる社会への情報開示、社会とのコミュニケーション促進などである。

コンプライアンス経営とは、「企業の創業の精神、経営理念などに掲げられている企業使命の実現を目指して、公正で誠実な企業行動により、企業使命を遂行し、社会の信頼を獲得する経営」と、広義に受け止めることが重要である。

企業としては、経営トップのリーダーシップのもと、本業を通じて経営資源の制約を考慮しながら、企業独自の目標を設定して、 「 コンプライアンス経営」を基盤とした「 CSR 経営」の推進が望まれている。上記項目をどのような組み合わせで、優先順位をどうするかは、まさにそれぞれの経営戦略となる。 これこそが、「誠実な企業」として、持続的発展を遂げるための道である。


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