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実践経営倫理塾 『何をもってCSRの評価とするか』 ?CSRとSRI?


『何をもってCSRの評価とするか』 ?CSRとSRI?

BERC主任研究員 星野邦夫

5.世界的に権威のあるSRIインデックス

日本でもMS-SRIのような内容的に権威のあるSRIインデックスが何件かあるが、日本国内でのSRI投資残高が最盛期(2007年)の年間平均総額で7000億円と小さくては、投資家に対する存在感も社会的投資としての効果も現状あまり期待できない。
  そこで、SRIインデックスへの投資残高が目覚ましい勢いで伸びている欧米市場をみてみると、日本企業への高い評価が見えてくる。
  世界的に権威のあるSRIインデックスについて概観してみよう。

(1)『DJSI (Dow Jones Sustainability Index)』
ダウジョーンズ社は「ウオルストリート・ジャーナル」などを発行する出版社として有名。ニューヨーク・ダウという米国株式市場の代表的指数も同社が選定した企業の株価指標である。
DJSI(Dow Jones Sustainability Index)は1999年に初めて経済、環境、社会3分野で優れた企業群を選出したインデックス。企業の調査とデータベース管理はジュネーブにあるSAM社(Sustainability Asset Management)。DJSI選定にあたっては世界で約2500社を対象にアンケートとe-mailインタビューでスクリーニングする。業界別に採用枠を設けランキング付けして、上位銘柄をインデックスに登録する。それゆえ、DJSIに登録された企業はそれぞれの業界で最も優れたCSR先進企業の一つということになる。 
年2回銘柄を組み替える。組み替えにあたっては、インデックスから外した会社名と削除の理由、今回採用になった会社名を公表する。
 例:○○会社 削除(Deletion)、削除理由は人権(Human Right)。××会社 削除(Deletion)、削除理由は贈収賄(Bribery)
また、アンケートに答えた各社に対するSAM社の評価結果の詳細はe-mailで送ってくる。各項目別の自社のスコア、業界平均スコア、最高スコア、最低スコアなどを教えてくれるので自社の強みと弱みを知ることができる。
SAM社は、認定企業にDJSIのロゴマークの使用を許可し、認定企業のブランドイメージを高めるようにしている。



(2)『FTSE4GOOD』
FTSE4GOODはイギリス・フィナンシャルタイムズ社とロンドン証券取引所の合弁会社であるFTSE社が2001年に開発したSRIインデックス。企業の調査とデータベース作成はロンドンにあるEIRIS社(Ethical Investment Research Service)が提供している。
FTSE4GOODは銘柄選定の際、独自のネガティブ・スクリーニング(銘柄選定規制)を行い、その結果、タバコ製造、ウラン採掘、兵器生産、核兵器生産、原子力発電所の保有と運営にかかわる企業は排除される。
そのうえで、経済性指標、環境性指標、社会性指標にかかわるアンケートを実施して年に2回銘柄を組み替える。
組み替えにあたっては、インデックスから外した会社名とその削除理由も公表する。
採用企業へ提供するロゴマークは以下の通り。

(3)『ESI(Ethibel Sustainability Index)』
ベルギーに本拠を置くエティベル(Ethibel)は、NGO組織としてCSR/SRIを専門的に調査・評価する機関である。ここが開発したEthibel Sustainability Index はDJSIやFTSE4GOODに準ずる存在感を維持している。エティベルは、DJSIやFTSE4GOODのように調査会社が対象企業にアンケートを送るのではなく、企業に対しその企業がすでに発表しているIR資料やCSR報告書、ホームページなどだけで、勝手にCSRレベルを評価する。
インデックスに採用した企業にはその結果を連絡する。ただしESIグローバルは時価総額や株式の流通量など超大型株でないと採用しないので、一般のベンチマークとしてはやや不適。Ethibel Pioneer & Excellence Indexがベンチマークするに適切である。 採用企業へ提供するロゴマークは以下の通り。

6.権威あるSRIインデックスに採用されている日本企業

これまで論じてきたように、現在、権威あるSRIインデックスは、知名度、歴史、利用しているファンドの規模などから判断すると、まず日本国内ではMS-SRI。世界レベルではDJSI、FTSE4GOOD、続いてESI(Ethibel Sustainability Indexes)である。

⇒ 2010下期日本と世界の代表的SRIに採用された日本企業名リスト(筆者調べ)


さて、以上の4つのSRIインデックスを精査すると、2010年下期では日本企業9社が4つのSRIインデックスすべてに採用されている。この9社こそ、内外の権威あるSRI調査機関に評価された「SRI4冠優良会社」、言い換えれば2010年度下期段階における「CSR経営最先進企業」と言うことになる。その具体的会社名はABC順で

1 イオン(Aeon Co.)
2 大日本印刷(Dai Nippon Printing)
3 富士フイルム(FUJIFILM Holdings)
4 日本電気(NEC Corp.)
5 パナソニック(Panasonic Corp.)
6 ローム(Rohm Co. Ltd.)
7 セブン&アイ(Seven & I Holdings)
8 帝人(Teijin Ltd.)
9 東京海上HD (Tokio Marine Holdings)

 なお、9社中5社が経営倫理実践研究センターの会員企業であることを付記しておきたい。

次回は、『7.SRIアンケートの答え方の実務 』、『8.SRIアナリストの本音』を掲載致します。お楽しみに!


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