トップ  >  実践経営倫理塾 「経営にどこまで倫理を求めるべきか」 第1回 倫理とは何か
実践経営倫理塾 経営にどこまで倫理を求めるべきか

経営倫理実践研究センター フェロー
上智大学文学部哲学科講師
勝西 良典

シリーズの概要、あるいは、予告編
本シリーズでは、倫理学の立場から、経営と倫理の関係について論じることにしたい。
経済学者や経営学者ですら、おまえに経営ができるのかと揶揄されるご時世に、倫理学者が経営を語るのか、と罵倒されるかもしれないが、こういった、何も知らない門外漢の視線にさらされ、そうした輩から批評されてしまうのが、企業の置かれている現在の社会的状況ではないだろうか。
たとえ、現在の放射線量が科学的に見て安全であったとしても(実際に安全かどうかはここでは問わない)、ここには住めないとか、この食物は摂取できないといった「風評被害」が出てくる(実際にたんなる風評被害かどうかはここでは問わない)。これこそ、顧客がその中に含まれる世間の姿である。
だとすると、世間に含まれるはずの倫理学者の見方を知っておいても、ビジネスに携わるものとして損にはならないだろう。ビジネスがらみで生じるすべての不都合な出来事に対して、「企業不祥事」というレッテルを貼ろうと手ぐすね引いて待っている人たちの論理が「リンリ(倫理)」ならば、「リンリ教団」のロジックを知っておこうとするのは、経営に携わるものとして正しい姿勢ではないだろうか。
もちろん、「リンリ教団」に対抗するロジックを提供しようという狙いもある。なぜなら、小職は哲学屋であり、通り一遍の「リンリ」に飽き飽きしているからである。
本シリーズでは、経営の論理と倫理は基本的に対立するという理解を俎上に上げ、「経営にどこまで倫理を求めるべきか」という問題設定で、経営倫理について考える。他のシリーズでも取り上げられたモデル、私的な利潤追求の自由と公益実現の義務は対立するものであり、私的な利潤追求が優先されるあまり企業不祥事が多発するというモデルに一度乗ってみて、本当にそんな単純なことなのか検討する。そのなかで、「経営にどこまで倫理を求めるべきか」という問い方自体が誤解を招きやすい言い回しだということが暴かれるだろう。
今回(第1回)は倫理のゆるやかな定義を示し、次いで(第2回)倫理的要求とビジネスの論理は対立するのかを考える。この2回を通じて、「経営に倫理的な視点は必要か?」という問いに対する小職なりの回答を与える。続いて、「倫理的な経営とはどのような経営のことを言うのか?」という問いに答えるべく、「啓発された自己利益」という考え方と、この構想に基づく経営の限界を指摘し(第3回)、「啓発された自己利益」を超えた経営倫理の可能性について論じる(第4回)ことにする予定である。

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