このたび一般社団法人経営倫理実践研究センターの理事長に就任いたしました。
経営倫理実践研究センター(BERC)は、経営倫理を実践研究する我が国初の産学協同の専門機関として1997年に設立され、2009年に一般社団法人化されました。
BERCでは、今日に至るまで日本経営倫理学会などとの連携のもと、経営倫理を軸にコンプライアンス、リスクマネジメント、内部統制、CSR、監査、さらにはSDGsやESG、サステナビリティ経営に関する情報収集・研究など、当該分野の企業活動に対するコンサルティング、企業人への啓発・普及を行ってきております。特に研究会活動を通して、会員間のコミュニケーション・ネットワーキングを大切にして相互研鑽に努めてまいりました。
私たちを取り巻く環境に目を向けると、3年前の新型コロナウイルス感染症の発生、昨年のロシアによるウクライナ侵攻に端を発した世界の分断や対立、昨今では生成AIにみられるAI技術の急速な進化など、グローバル規模でこれまでは予想もつかなかったことが次々と起こっています。例えば生成AIについては、インターネット登場に匹敵するくらいの影響があるとも言われており、すでに過去からの延長線上にはない新たな変化やビジネスが起こり始めています。
このような時代にあって、企業が直面するリスクや経営倫理に関する課題は多く多岐にわたり、複雑に絡み合っています。また企業の社会的責任も、グローバルベースでのサプライチェーンも含めたサステナビリティの視点から、これまで以上に厳しいものが求められています。
加えて企業価値向上のために、各企業は様々な取り組みを進めていかなければなりませんが、どのような時代にあっても、企業が存在し続けるための基盤はコンプライアンス、リスクマネジメントなど経営倫理であることに変わりはなく、それらを具体的に実践していくことが極めて重要です。
経営倫理に関わる領域が増えていく中で、BERCとしては、創設以来の先人が築いてきた精神を礎に、アンテナを高くして世の中の動きを敏感にとらえてまいります。そして、各企業がより広い意味で企業活動における倫理・コンプライアンスに関する新たな課題に積極的に対応していくために、会員企業が相互に触発し高め合い、真の経営倫理の実践に役立つ機関であり続けるよう取り組んでまいります。
(2023年6月)