「日本企業の不祥事と経営倫理;最近の品質検査不正事例を中心に」梅津 光弘氏が講演
経営倫理実践研究センターでは、毎年春と秋の2回、会員企業の経営倫理担当役員(BEO;Business Ethics Officer)を招き、昼食懇話会を行っている。第28回BEO昼食懇話会は2019年5月15日、経営倫理実践研究センター理事・首席研究員で慶應義塾大学准教授、日本経営倫理学会会長である梅津光弘氏が講師となり、東京都港区の国際文化会館で開催された。
この日は梅津氏の講演に先立ち、福島県企画調整課主幹である佐藤安彦氏をお迎えして15分ほどお話を伺った。佐藤氏は、資料に基づいて東日本震災からの復興状況の説明を行い、出席者に対して是非足を運んで「ふくしまのいま」を体験してほしいとのことであった。
さて、梅津氏の講演に移る。はじめに自らの略歴を示し、米国留学中に宗教・哲学・神学といった専門研究分野からどのようにBusiness Ethicsという学問分野に出会い、結果日本人で初めて米国でBusiness Ethicsで博士号を取得したことなどが面白おかしく紹介された。
(米国に比べ日本への浸透が遅れた経営倫理)梅津氏によると、学者が学問的に20年から30年前に議論されたことがようやく社会で実現していく、特に日本は米国に比べ10年ほど遅いとのことだが、こと経営倫理、企業倫理という分野はなかなか日本に浸透して来ず、1997年がその転換点になったという。きっかけは総会屋への利益供与事件。それまで企業不祥事というと一般紙が取り上げ、いわゆる経済紙にはほとんど記事にはならなかったという様相が変わり始めた時期であるとのこと。梅津氏は近年の日本における不祥事がいかに多いかを表にして見せる。